スカンジナビアン デザイン史 〜サマリー〜

スカンジナビアからのメッセージ
〜みんなのお家に「グッド・デザイン」を〜

1950年代、スカンジナビアデザインの展覧会を成功に導いたアメリカ・ バージニア州の美術館のレスリー・チーク・ジュニア氏は、スカンジナビアンデザイン についてこう語っています。
「人は自分の家にデザインのすぐれたよいものを欲しがっている。なぜなら、一生かけて 毎日使うものだし、使いやすくて美しいものをそばに置きたいからだ。スカンジナビアの アーティストたちほど、家庭用品を賢く美しくデザインできる人たちは他に見ない」
手に入りやすく、リーズナブルなモダンデザインが注目を集め、「グッド・デザイン」 という定義を世界に教えてくれた北欧デザイン。
スカンジナビアのアーティスト 自身の独創的な生活スタイルを、デザインの中に取り入れていったことからひとつ一つの デザインが誕生しました。

■毎日使うモノへのこだわり
北欧の国々は異なった文化と伝統的な資源を抱えながら、それぞれのテクノロジーを 駆使して、生活の向上という目標に向けて発展してきました。

政治的、経済的発展という 背景に影響を受けながら、デザイナーたちは自然と日々の生活に使う「モノ」に注目 していくようになり、社会の中心部に位置する「家」という点に着目していったのです。

1950年代以前は、アルバー・アールトやタピオ・ウィルッカラをはじめ有名建築家や 商業デザイナー、画家などが、木材、ガラス、車など、さまざまな素材に熱を入れ、 それは新たな「オーガニック(自然で)ミニマム(最小限)」へのはじまりでした。

国内の経済的背景の助けもあり、スカンジナビアデザインは1950年代に繁栄期を向かえ、 成功の一途をたどることになりました。
■テクノロジーと上手く進化する
メーカーと消費者の直接的なコミュニケーションのおかげで、「モノ」の市場がわかり、 要求に対応した生産が可能になりました。

1905年代初頭、テクノロジーを駆使した 大量生産に改善を加えつつ、デザイナーたちの抽象芸術性やオーガニックスタイル、 メッセージなどもふまえていくといった進め方が広まっていきました。
たとえば、デンマーク家具メーカーが、素材をベニヤ合板へとおきかえたり、新しい生産 方法を開発したり、チェアやテーブルなどのパーツにはスチールのみを使用したりしました。
これが結果的に、「フォーマルかつシンプル」というスタイルを生み出すことになったのです。

「日常生活にもっと美を」というモットーのもとに、スウェーデンの銀製品メーカーは、大量生産と 高品質をうまく融合させました。
この結果、ステンレススチールが、シルバーウェアにかわる 新しい素材として市場に提案されたのがいい例です。
テクノロジーの進化によって開けた新しい素材 の使用が、新しい文化の形成へと導いていきました。
■ミニマリスムを世界へ
以来、北欧の国々は、他の国以上にデザインの偶像をつくりあげてきました。

おもちゃメーカーのレゴ社や食器メーカーのアラビア社から、デザイナーの アルネ・ヤコブセンのチェアなど、スカンジナビアは「ミニマリスム」というスタイルを 作り上げ、身近で使いやすく、デザイン性のあるカタチを提案してきました。
マリメッコ社製の衣類、ジョージ・ジェンセン社製の時計、 バング・アンド・オルフセン社製のステレオなどからも、スカンジナビアンデザインとしての メッセージが読み取れます。

ノルウェー出身のアーティスト、ピーター・オプスビックやスウェーデン生まれの デザイングループ、エルゴノミのデザイン作品も、家具メーカーのイケア社の 大量生産型アイテムのミニマリストな市場へのアプローチも、 地球規模で影響を与えたに違いありません。
■スカンジナビアンデザインの影響力
このような民主的な文化形成は今日も続いており、ファイバーガラスやコンピュータ チップなどといった新素材も、木材やガラスといった伝統的素材とともに良い状態で 共存しています。

今日、スカンジナビアは世界一のテレコミュニケーションネットワークを持ち、 機能性とデザイン性を兼ね添えた携帯電話などの分野ではデザイン賞を獲得しています。

1950年代のスカンジナビアンデザインの影響力は、近代のミニマリスムに大きく 反映し続け、世界的であらためて見直され、熱い視線を受けています。
とくに、オランダ、日本、イギリスなどでは、スカンジナビアンデザインが 数十年もの間ずっと提案し続けた、シンプルというメッセージが理解され 広まっているようです。